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【アトリエ journal】mushimegane books.さん工房取材

2017年1月のとある日。

家主は、兵庫県にかまえるmushimegane books.さんの工房を訪ねました。

 

なかなか吹雪く、寒い日のことでした。

畑の広がるなかで、ぽつんとあるmushimegane books.さんの工房。

実は、彼女のことは10年以上前から知っていました。

いつか一緒にお仕事がしたいと思っていた私の気持ち。

その理由は、彼女を知っている人ならわかる簡単なことで….。

今回、mushimegane books.さんのライフワークや作り手になった理由、

ものづくりへの想いについてもお話を聞いてきました。

 

 

道具や作品がちゃんと整えられた作業場。

彼女は、少量の作品搬入であってもたくさんつくるそうです。

写真中央でふかふかのクッションに鎮座する丸い作品は、大御所さんなのでしょうかね。

 

土練りがしっかりできると、乾燥や焼成時などに起きる作品のキレになりにくい。ええ、私は知っております。彼女の土練りが昔から上手なことを。

彼女は、土に自然の素材を入れることが多く、

料理に塩をいれるように土にスパイスしていきます。

天気で入れる量を変えてみたり、男女問わず大切な誰かを想ってまたワンスパイスしてみたり。

時には、もう一度思い出してつくってみるけれど、やっぱり前とは違っていたりして。

やってみよう。混ぜてみよう。

それは日々の変化と似ていると彼女はいいます。

 

あっという間にできる大皿でしたが、

容易に力がおよばないのが陶芸の魅力なのだとか。

 

削りは、ターンテーブルを回すように・・・。

 

「なくてもいいけど、あるとうれしい」

これがmushiegane books.さんの作り手として大切にする作品づくりの考え。

 

そして、彼女は手の感覚も大切にします。

「いいあんばい」= 手触り・温度・水の動き

この釉薬の調合で、mushimeganebooks.さんの独特な色になっていくわけです。調合は彼女のレシピ。

 

釉薬のテストピースも見せてもらいました。

この写真は、一部過ぎるくらいほんの一部。

1枚の写真では収まらないほどあった大量のテストピース。

私には、それらが輝く宝石に見えました。

 

石をテストピースにすることも。

海の石、川の石。

石しかない海や石しかない川へ行ってみて拾う。

そして、石の変化する具合を見て釉薬のイメージを作り上げていく。

 

こちらは窯場から見える美しい風景。

この景色を眺めながら作品の焼成に臨んでいるmushimegane books.さんの雰囲気や居場所は、田舎と都会の両方を持つようにも思えます。

どちらも大切な所在。

 

陶芸は最終的に炎との対峙。

彼女はショックを引きずらないという。

「ああ、そうきたか」と思ったら、「つぎやろう!」。

でも次は忘れていたりする・・・。

まったくおちゃめなおひとですねぇ。

 

mushimegane books.さんが陶芸を続けた理由、

それは「たとえ趣味でもいいから陶芸をやめたらあかん。」

と、いい続けた人たちがいて、一番近い人や好きな人が喜んでくれたからだと。

 

学生の頃は、オブジェ制作もしていた彼女。

本格的に活動を始めた2年目の頃には、人や自然のエネルギーみたいなものに対して「ありがとう」という感謝の気持ちが無意識に溢れ出るようになっていったそうです。

 

陶芸でどこを目指すか。

それは、『タイトルを獲りたい、認められたい』ではなかったのです。

今でも「ありがとう」という感謝しかないという。

作陶は、祈るようにつくるわけでもなく、特別なことでもない。

 

ただ彼女にとっては普通のこと。

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●mushimegane books.さん、お忙しい中でお時間をいただきまして本当にありがとうございました。

●次回のOn apartments. journalは、mushimegane books.さんのpyocotan作品への想いや制作について取材させていただきましたのでお楽しみに☆

●当サイトお取扱い作品はこちら→mushimegane books.さん
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